「巻ちゃん聞いてくれ!」
「・・・何ショ?」
二日連続でかかってきた電話は、やはり東堂が可笑しいことを示していた。
少しばかり心に引っかかっていた為、巻島は珍しく東堂の話を聞く体制に入った。
「俺は嫌われているのかもしれないのだよ!」
大きな声でそう言った。
東堂は寮暮らしであるし、こんな声で電話をしていたら隣に丸聞こえだろうと、巻島はどうでもいいことを考える。
「(主語を言えっショ)・・・・で?」
「話しかけても、あまり返事をしてくれないのだよ
休み時間の度に話しかけているのだが・・・
隣の席だし普通は仲良くしようと思うだろう!?」
”隣の席”と言う言葉からこの話の主語が、昨日話に出てきた隣の席の奴であると悟る。
東堂は巻島が聞いてくれているのに気分を良くし、東堂は関を切ったように話し始めた。ぐだぐだとトイレ行くと言う理由と言う理由で話を断られただの、すぐに友達の所へ行ってしまうだの、挨拶しても無表情で相槌を打つだけだだの、関を切ったように話し続ける。
「(と、言うかそれって・・・)」
嫌われていると言う事ではないと思った。
「お前の事がどうでもいいだけショ」
「なっ・・・!!」
「(どんだけこいつ自分にあるんだ・・・?)」
そんな事思い浮かばなかったと言う様に声を上げた東堂に、巻島は電話を切りたくなった。
「おはよう!」
「おはよう・・・」
昨日ぶりの無表情で、西野は東堂に答えた。
今日は、東堂に考えがあった。もう少し、彼女のことを知ろうと思ったのだ。
そう、好きな話題ならば少し位会話が続くかと考えたのだ。
「(分らん・・・分らんよ)」
東堂は頬杖をして、西野のほうを見る。友達と話している西野はもっぱら聞く方専門で、あれがかわいいこれがかわいいと話す友人の言葉を笑顔で聞いている。
雑誌を指さし楽しそうに話す友人の頭を、西野は軽く撫でた。
午前中から彼女を眺めていて分ったことは、まじめであること(授業中に寝たりなどは一度もなかった)、友人が大好きであること(まあ、当然の事であろう)。この二つくらいだ。
友人と必要以上に共に居る事はないが、一人が好きだということでもないらしい。暇なときは漫画や本を読んだりと落ち着いた様子だ。
突然、西野の視線が手元の漫画から、東堂に移った。意図せず合った目に、東堂の心臓が大きく跳ねる。
「・・・何?」
「っ!!?」
じろじろと自身を見つめる東堂に、呆れた様に西野は思う。まだ話足りない事でもあるのだろうか。
授業の話も、天気の話ももうこの時間にはしてしまったというのに。
「い、いや、別に・・・なんでも無いのだよ」
「そ、ならいいんだけど」
なら、見ないでほしいとは伝えられず、西野は本に目を戻した。
別に友達に困っているわけでも、女に飢えているわけでもない、そんな東堂が自身に注目する理由など西野には思い浮かばない。
一方東堂は、自分から外れた視線に、もの悲しさを感じた。そして、思わず声を上げる。
「なあ、西野さん」
やはり、用があるらしい。西野は漫画を閉じて、東堂のほうを向いた。
「俺と・・・」
「俺と?」
思わず口から出した言葉に、戸惑い東堂は言葉を止めた。
促すように反復した西野の声に、東堂は意を決したようにガタリと立ちあがった。
「友達になってほしいのだよ!!!」
「はい?」
クラス中から刺さる視線。その中心にいる西野は面倒なことになったと眉間にしわを寄せている。
そのまま、逃げる様に(事実、逃げたのであろう)西野は気が合う様だったらなっても良いと言うようなことだけ言った。
精一杯の言葉も受け流され、東堂はそのむなしさを補う様にその夜も巻島へ電話をした。
(2014/11/18)
(2023/06/19 加筆修正)
「・・・何ショ?」
二日連続でかかってきた電話は、やはり東堂が可笑しいことを示していた。
少しばかり心に引っかかっていた為、巻島は珍しく東堂の話を聞く体制に入った。
「俺は嫌われているのかもしれないのだよ!」
大きな声でそう言った。
東堂は寮暮らしであるし、こんな声で電話をしていたら隣に丸聞こえだろうと、巻島はどうでもいいことを考える。
「(主語を言えっショ)・・・・で?」
「話しかけても、あまり返事をしてくれないのだよ
休み時間の度に話しかけているのだが・・・
隣の席だし普通は仲良くしようと思うだろう!?」
”隣の席”と言う言葉からこの話の主語が、昨日話に出てきた隣の席の奴であると悟る。
東堂は巻島が聞いてくれているのに気分を良くし、東堂は関を切ったように話し始めた。ぐだぐだとトイレ行くと言う理由と言う理由で話を断られただの、すぐに友達の所へ行ってしまうだの、挨拶しても無表情で相槌を打つだけだだの、関を切ったように話し続ける。
「(と、言うかそれって・・・)」
嫌われていると言う事ではないと思った。
「お前の事がどうでもいいだけショ」
「なっ・・・!!」
「(どんだけこいつ自分にあるんだ・・・?)」
そんな事思い浮かばなかったと言う様に声を上げた東堂に、巻島は電話を切りたくなった。
01.もしもし、友達になってくれませんか?
「おはよう!」
「おはよう・・・」
昨日ぶりの無表情で、西野は東堂に答えた。
今日は、東堂に考えがあった。もう少し、彼女のことを知ろうと思ったのだ。
そう、好きな話題ならば少し位会話が続くかと考えたのだ。
「(分らん・・・分らんよ)」
東堂は頬杖をして、西野のほうを見る。友達と話している西野はもっぱら聞く方専門で、あれがかわいいこれがかわいいと話す友人の言葉を笑顔で聞いている。
雑誌を指さし楽しそうに話す友人の頭を、西野は軽く撫でた。
午前中から彼女を眺めていて分ったことは、まじめであること(授業中に寝たりなどは一度もなかった)、友人が大好きであること(まあ、当然の事であろう)。この二つくらいだ。
友人と必要以上に共に居る事はないが、一人が好きだということでもないらしい。暇なときは漫画や本を読んだりと落ち着いた様子だ。
突然、西野の視線が手元の漫画から、東堂に移った。意図せず合った目に、東堂の心臓が大きく跳ねる。
「・・・何?」
「っ!!?」
じろじろと自身を見つめる東堂に、呆れた様に西野は思う。まだ話足りない事でもあるのだろうか。
授業の話も、天気の話ももうこの時間にはしてしまったというのに。
「い、いや、別に・・・なんでも無いのだよ」
「そ、ならいいんだけど」
なら、見ないでほしいとは伝えられず、西野は本に目を戻した。
別に友達に困っているわけでも、女に飢えているわけでもない、そんな東堂が自身に注目する理由など西野には思い浮かばない。
一方東堂は、自分から外れた視線に、もの悲しさを感じた。そして、思わず声を上げる。
「なあ、西野さん」
やはり、用があるらしい。西野は漫画を閉じて、東堂のほうを向いた。
「俺と・・・」
「俺と?」
思わず口から出した言葉に、戸惑い東堂は言葉を止めた。
促すように反復した西野の声に、東堂は意を決したようにガタリと立ちあがった。
「友達になってほしいのだよ!!!」
「はい?」
クラス中から刺さる視線。その中心にいる西野は面倒なことになったと眉間にしわを寄せている。
そのまま、逃げる様に(事実、逃げたのであろう)西野は気が合う様だったらなっても良いと言うようなことだけ言った。
精一杯の言葉も受け流され、東堂はそのむなしさを補う様にその夜も巻島へ電話をした。
(2014/11/18)
(2023/06/19 加筆修正)