Eternal Oath

01.侍道4―ローラ男主シリーズ― Log

さくら(2017/04/17)


「散ってしまいましたね」

隣を歩くローラが言った。目線は の頭上、少し上の桜の木を向いていた。
満開を遠に過ぎた桜は所々葉が覗いており、薄桃色と緑のまだら模様である。

「ああ、」
つられて七蔵も視線をあげた。

「随分と見苦しくなったもんだ」


「見苦しい、ですか?」
大きな目を瞬かせて、ローラが言った。
「ん?」
「私は好きですよ」
ほら、こんなに綺麗。


白魚の指が指し示したのは、薄ももに色づいた山道の道。

「ほら、まるでカーペット見たいです」
手を口元に当て、くすくすとローラは笑う。

カーペット、確か領事館にも敷かれていた獣の毛を織り込んだ敷物で、鮮やかな赤や金に染められていた。
そこまで考え、七蔵は改めて目の前の道を見る。 長々と続く薄桃は、なるほど敷物か何かのようだった。


「確かに、そうかもなぁ」
「ふふ、ですよね」



七蔵様、寄り道しませんか?」
カーペットの上を歩きたいのですと、ローラ。
「ああ。 行こうか」
西洋人がするような、ぎこちなく手を差し出したエスコートに、ローラは手を伸ばした。

「やっぱり綺麗」
「そうだな」



君が為(2017/09/14)


 ごとり。
 重いものが落ちる音。般若党の男の首の落ちる音だった。

 俺と同じくらいの歳の男は、先程まで馴染みの夜鷹と逢瀬をしていた。もうすぐ全部終わるからそうしたら結婚してくれと、女はその言葉に嬉しそうに微笑んでいた。


「明後日には異人どもを一掃できるんだ」


 そして、今俺の下に首が一つ転がっている。明後日にはこの何倍も殺すのだろう、舌打ち一つして奉行所へと足を進める。茂呂に会わなければならなくなってしまった。
 俺は人を食ったようで、その癖どこかを見据えているあの男は嫌いだ。よう、なんて気安く声をかけてはくるが、それにはいつも監視するようなそれがまとわりついている。

 それでも、何かと英国に肩入れしている奴だから居ないよりはましであろう。般若党に動きがあると知って尚静観するほど奴は愚鈍ではない。

「っち、めんどくせぇ」
 実のところ、異人もこの国の未来だって本心ではどうでもいい。



 ただ、ローラを害するのだけは許さない。