Eternal Oath

「僕はリズが好きだ」


”好き”―――それはずっと私が探していたもの。

なんだろう。
なんでだろう。

私が最初に言った”好き”とシンクの”好き”は違う気がした。

5.愛を夢見る人形


「・・・」


―――あれ?どうしよう


―――こんなの本に書いてなかった


私はあいまいに頷いて、シンクをみた。
あれ?シンクってこんな顔してたっけ?
ぐるぐる回る私の知識はその答えを出してはくれなかった。

そしてふと思った。


「恋人だから、好きなのは当然でしょ?」


本にはそう書いてあったと。


「違う!」


だんと存外大きな音をたて、シンクの手が机に叩きつけられた。
そうじゃなくてと、消えそうな声でシンクは呟く。その表情は、ひどく弱弱しいもので。

「・・・やだ」
「っ」

考えるより先に体が動いた。
こんな顔のシンクを見ているくらいなら、考えない方がましだと思った。
シンクの背に手を回し、胸に顔をうずめれば、短いうめき声をあげた。

「そんな顔しないで」
リズ

きゅぅと、体が悲鳴を上げるくらい強く、シンクが私を抱きしめた。



「好きだ」

「さっき聞いたよ」


「・・・好きだ」

「うん」


痛いと、素直に口にできたらよかったのだろうか。
それを告げるのはこの場にそぐわない気がした。
なので、リズは諦め、シンクの胸に顔を埋めることを続けることにした。




それからどれくらいたったのだろう。
一時間かもしれないし、たったの数分だったのかもしれない。
シンクも、リズも、最早時間など分らなくなっていた。

先に口を開いたのはリズだった。

「シンク

シンクと恋人してて気付いたことがあるの」
「・・・」


「シンクには変わりはいなくて

シンクは私に必要で


シンクが辛そうな顔してるのは嫌だってこと」


たった三つ。

でも、リズにとっては三つ以上の価値をそれらは持っていた。


「それは、”好き”ってことにならないの?」


今度は付き合う為の道具ではなく、確かに感情のこもった言葉だった。
シンクの腕から徐々に力が抜け、リズはシンクを見上げる。
耳まで赤くした顔が、そこにはあった。

リズは、弱弱しさの抜けたその顔に、笑顔を浮かべる。


「シンク大好きだよ」
「もういいって」


リズはもう一度シンクに抱き付いて、赤いままの顔を見上げた。


「ねぇ、”好き”を続けると”愛”になるって本には書いてあったよ」

「・・・分るまで付き合えばいいんだろ」


もう一度リズを抱きしめてシンクはそう呟いた。


(2014/09/29)