にゃんにゃんにゃん―小野田の場合―
「す、すみません」
その消え去りそうな小さな声を拾い上げたのは、女子バスケ部の部長であった。同じ運動部で金城と同じクラスと言うこともあり、自転車部とはかなり懇意にしている。
「巻島さんは・・・ってぇえ!?どうしたんですか佐倉さん!!」
見知った彼女の姿に小野田が緊張を解したのもつかの間のことだ。
何故なら彼女の頭には安そうな黒の猫耳カチューシャが乗っていた。どう見ても普通ではないそれに、彼が混乱するのも無理はない。
「巻島?ちょっとまっててね」
「て、スルーするなショ
小野田が可哀想だろうが」
小野田の言葉を黙殺した瑞樹に呆れ、巻島が二人の傍へと近づいた。
「は?誰のせいでこんな事になってるとおもってんの?」
彼女は大変不機嫌そうに巻島を見上げる。
「お前がトランプ弱いせい、ショ」
「うっざ
次こそはお前の頭にこれ乗せてやる」
どうやら、トランプの罰ゲームで猫耳を付けているようだ。言い争う二人にあわあわしながらも、小野田はそう納得する。
「いやいや、普通に嫌っショ
男の頭の上に乗せてなにが楽しいんショ」
「いや、私が猫耳つけてたってかわいくは無いでしょ?ねえ?」
「え?あ、あの!・・・えっと」
突然降ってきた問いかけは予想外。
決して柔軟性に優れている訳ではない小野田は、かわいそうなくらい狼狽した。そうなれば存外彼をかわいがっている巻島が助け舟をだす。
「小野田を困ら「あ、あの!佐倉さんの猫耳すごく可愛いと思います!」
「・・・・え、」
焦った彼の口から出たのは賛辞の言葉。
すごく似合ってます!かわいいです!
矢継ぎ早にそう告げられれば―――
「何赤くなってんショ・・・ってぇ!」
―――赤くもなるし、爆笑している巻島の背に張り手の一つも入れたくなった。と言うか、入れた。
(2016/09/19)
元拍手のおまけ。