Eternal Oath

永遠で普遍なもの。

そんなの無いのかもしれない。


何十年後も愛してる


「何をよんでるんだ?」
「ウータイ地方の読み物なんだけれど
なんて言ったらいいのかしら・・・軍記物?」

「意外だな」

「そうかしら?」

ヴィンセントの問いかけに、リズは読みかけの本にしおりをさして閉じた。
少々分厚い本は、パタンと音をたてる。

その音に、ヴィンセントは眉根を寄せた。
「すまない・・・」
読書の邪魔をしてしまったかと思ったからだ。


「いえ、いいのよ
ちょうど一息入れようかと思っていたところだから」

彼の思いとは裏腹に、彼女は気にしてないかのように笑う。
本当に気にしていないのであろう彼女は、立ち上がって二人分のお茶を用意する。
リズはミルクティーで、ヴィンセントはストレート。

いつもと同じいれかただけれど、今日は違う茶葉なのだとリズは言う。


「どうぞ」
「ありがとう
・・・どういう内容なんだ」

「この本?」

「ああ」


彼が興味を持つなんて珍しくて、リズは何度か目を瞬かせた。

「ある天下を凌駕した一族が、滅びるまでの話よ」


ヴィンセントが、本をめくる。興味が掻き立てられるような内容ではない。
一方でリズはこの話が好きだった。


「この時間は永遠じゃないって思えるの」
「・・・そうだな」


だからこそ。



今――この時間が愛おしいのだ。





(2011/08/12)
(2023/06/18 加筆修正)