Eternal Oath

お前はひどく甘い。


インペリアルスイート


「―――、――――」


私がピアノを弾いていた。
久々に触ったのだが、意外となんとかなるものだな。なんて。
そんなことを考えながら。


しかし何の曲でも、どうも私が弾くと音が早く大きくなる。
そう首を傾げた。


リズが弾くとまるで行進曲だな」

ちなみに今弾いているのは行進曲ではないのだが、まったくその通りだと私は思う。

「ははっ、違いない」


ピアノが得意と言うわけではないが、私もエドガーもそれを習わなければならないような状況にあった。
いや、習うのが普通だったのだ。


王子と貴族の息女。
もっとも、私の家は世界崩落の際に没したも同然で、貴族と言っても名前だけになってしまったが。


「次はエドガーが弾く番だ」
「ああ、何がいい?」

「そうだな。

恋の曲がいい、エドガーに似合いそうだ」


私と変わってエドガーがピアノを弾き始める。

ゆったりと、甘く。
彼が弾くのにはやはりこういった曲が合う。


うっかり聞き惚れていると、終ったのか演奏が終わる。


「やっぱり、エドガーにはこうゆう曲が似合うな」
「そうかい?」

「ああ、とても―――きれいだ」


眼を閉じて、もう一度先ほどの旋律を思い出す。


「今度はリズの番だ」

エドガーが席を立つ。
さて、次は何を弾こうか。


「何を弾こうか」
「では、リズも恋の曲を」

「・・・行進曲になるぞ?」
「いや、大丈夫だ」


私の手に、エドガーの手が重なる。


「私のことを思って弾いてくれればな」


ウインクをしてそう言ってのけた。


「なら次も行進曲だな」
「なん・・・だと?」

「ははっ、当然だろう?」

ニッと笑い、ピアノを弾き始める。
いつか、弾けるようになるだろうか。

ゆったりと甘く、切なくなるような恋の曲を。


(2011/08/11)
(2023/06/18 加筆修正)