かわいい新入生
「荒北さん、一年生になんかかわいい子入って来たみたいですね」
―――知ってる
「靖友。すごくかわいい新入生が入ったらしいぞ」
―――だから、知ってる
「靖友!見たか!!?新入生にかわいい子が「知ってる!!!」」
―――あいつがかわいいのは俺が一番知ってる。
だから嫌だったんだヨ。
そう荒北は荒々しくロッカーを占めた。バンっと言う音に機嫌が悪いことを察したのだろう、後輩は元より浮足立っていた東堂と新開もその話題を止める。
荒北は、苛立たし気なオーラをまとったまま部室を飛び出した。
「やすとも君」
そんな彼を呼び止めたのは先ほどまで話題の中心にいた人物。荒北から見ても”かわいい”笑顔を張り付けて、近寄ってくる。
「(こいつが可愛いのは俺が一番知ってるんだヨ)・・・」
「ん?どしたの?」
「、んでもねェ
それよりも、瑞樹」
「なに?」
「なんでここに居るんだヨ
随分待ったんじゃナァイ?」
「だって、やすとも君と一緒に帰りたかったんだもん」
荒北の空いた右手を、瑞樹の手が掴んだ。
―――ああ、くそ
―――やっぱりかわいい
(2015.02.05)