高嶺の花
第一印象はきれいな人だった。クラウドが初めて本社に赴いたとき(とは言ってもエントランスにも入れてはくれなかったが)、支給品のマテリアを配っていた女性。
名前はリズ=ターナー。普段から兵士のサポートを行っている彼女は、ソルジャーからも人気があって、俺のような一兵士からすれば高嶺の花だと後から聞いた。
―――今、なぜそんな話をしたのかと言うと、そんな彼女が今目の前にいるからだ。
たぶん彼女はクラウドの事など覚えてはいないであろう。だって、話など二言三言しかしたことはなかったのだから。それでも、声を掛けようと逡巡したのは彼女に仄かな懸想を覚えていたからだ。
「・・・もしかして・・・クラウドさん・・・?」
驚くことに、彼女がクラウドに気付いた。予想外の展開にクラウドが立ちすくむと、覚えていませんか?リズですなどと笑顔で話しかけてくる。
ああ、覚えてる。覚えてるとも。
そう思えど声は出ず。僅かに頷いたのをどうとったのか、彼女は現在の状況を話始めた。
「本当にお久しぶりですね
こんな所で会えるとは思わずつい声をかけてしまいました
ご迷惑でしたか?」
「いや、そんなことはない」
「良かった
私も、もう神羅をやめてしまって、本当こんなところで会えるなんて
元気でした?」
その言葉に、クラウドは聊か眉をひそめる。彼女は自分とはあまり接点がなかったはずだ。
「そうだ、クラウドさん知っていました?」
一歩、二歩。近づく彼女に、クラウドは自身が赤面するのを感じた。
真っ赤になった耳元に、リズは囁く様に唇を寄せる。
「私、クラウドさんの事ちょっとだけいいなって思ってたんです」
「な・・・」
クラウドの気も知らず、悪戯じみた顔で彼女は笑った。
(2015.02.03)