夕闇
「おい・・・」
ジンの声が聞こえる。
低いこの声が私は嫌いじゃない。
「リズ、起きろ」
いやだ。だって、まだ平気でしょう。
聞いていたわ、今日の任務は夜遅く。
―――まだ平気なはず。
「リズ」
もう一度ジンが私の名を呼んだ。
でも、決して私の手を振りほどかない。
うっすら目を開けると、あきらめたようにタバコを咥えていた。
夕日に照らされたその横顔は恐ろしいくらい綺麗で、手を離したくないと思った。
初めての我侭と、甘え。
―――もう少し・・・もう少し
「・・・ジン」
「・・・?」
小さく呟いた。
気配でこちらを向いたのが分かったが、しらんぷり。
あぁ、空が赤くなる。
「リズ」
今度は体を揺らしてくる。痺れを切らしたのだろう。
もう少し・・・ねぇ、もう少しだけね
(せめて夕闇につつまれるまで)
(2011/09/19)
元拍手のおまけ。