リズはいつもと同じように玄関の扉をたたいた。
「バード、いるー?」
「・・・」
しかし、中から返事はない。
「?入るよー」
―――ガチャ
「なんだ、いるじゃん」
部屋の中に目的の人物はいた。
美しい青の羽根を折りたたみ男は力なくリズを見やる。
「・・・リズか」
「突然ごめんね
この間のさ、料理教えて貰おうと思って来たんだけど・・・出直した方がいい?」
「別にいいぜ、暇だしな」
「ありがとう」
バードは何故か元気のない様子だったが、リズの頼みを快く聞き入れた。少し前のホームパーティで出した料理をリズはいたく気に入り今度教えてほしいと頼んでいたのだ。
「・・・・・ポイントは火加減な」
「おっけー、こんな感じ?」
「あぁ・・・」
律儀に約束を守る彼だがえらく元気がない。
リズにはその理由が容易に想像できた。今までに何度も同じようなことがあったからだ。
心中ため息をつきながらリズはそれを確かめる。
「・・・あのさぁ、バード」
「・・・・あん?」
「また、降られたの?」
図星だったのだろう一瞬傷ついた表情を浮かべたバードが声を荒げる。
「そうだよ!悪いか!!」
「いや、悪いとは言ってないけど」
困ったように笑ってリズは言う。
くつくつと鍋が沸騰し慌てて火を弱めた。
「けど、なんだよ」
すねたように言うのは悔しさ故か。
「バード、なんで彼女出来ないんだろうと思って 普通に面倒見いいし、優しいしさ」
鍋と格闘する彼女から目を背けバードは腕を組む。
女はすぐそれだ。
いい人だ優しい人だと言ったところで付き合ってくれる訳ではない。
「っけ!彼氏いるような奴に言われても嬉しくねぇよ!
あーあ、どっかにフリーの可愛い女の子いないかなぁ
お前、女友達とかいないのかよ」
組んでた腕をほどき悪戦苦闘するリズの手からお玉を取り上げる。手を出さずにはいられなかった。
「友達もいいけど、私も彼氏とかいないけど?」
「は?」
バードは思わず鍋から目をはなした。
「いや、だから彼氏いないし」
「は?
彼氏のために料理習いに来てるんじゃねぇの?」
くつくつとまた鍋が音を立て始めた。
「いや、一回もそんな事いってないじゃん」
何でもない風に彼女は言う。
「そうだけどよ
バレンタインなんかチョコレート作りに来てたじゃねぇか」
「・・・そのチョコ、バードにあげたじゃん」
奪われたお玉を取り返しリズは鍋の火を切った。きっともう料理なんてできない。
鍋の音がとまり静寂があたりを包んだ。
「だから、その後好きな男にやったんじゃねぇの?」
「いや
あの後誰にもチョコレートなんて渡してないよ」
目を鍋からバードに移すとリズは真剣な表情を作った。
真剣な視線からバードは思わず目をそらす。こんなリズを彼は知らなかった。
「じゃあなんでチョコレートなんか作りに来たんだよ」
「バレンタインだったからね」
「なんだ、お前もふられたのかヨ」
渡す前に断られた。そうであってくれと願いを込めて態と明るく声を上げた。
恋愛関係でうまくいったためしがない彼は彼女にそう言う感情を向けられなかった。もしも間違ってしまったら友達ではいられない。
「それなら最初から言ってくれれば「いや、べつに?」」
「・・・つまり、どーゆーことなんだよ」
「んー、バードにしか渡してないってことかな?」
バードはもう一つの願いを口にする。
「・・・結局渡せなかったってことか」
「あー、なんでそうなるかなー」
もしかして。
頭を振ってバードはその可能性を否定した。
「ほかに何があるんだよ」
「んー、例えばだけど バードが好き、とか?」
「なっ・・・冗談、だよな」
「ははっ
どうでしょう?冗談かもね」
「だ、だよなー」
「まぁ、冗談じゃないんだけどね」
しかし、リズは本気だとそういった。
料理も全部バードといる為の口実だったのとリズ>は笑う。
驚き固まるバードの手前、リズは鮮やかに料理を完成させてみせた。
(2016/02/28)
2015年3月15日投稿のTwitterLogを改変。
「バード、いるー?」
「・・・」
しかし、中から返事はない。
「?入るよー」
―――ガチャ
「なんだ、いるじゃん」
部屋の中に目的の人物はいた。
美しい青の羽根を折りたたみ男は力なくリズを見やる。
「・・・リズか」
「突然ごめんね
この間のさ、料理教えて貰おうと思って来たんだけど・・・出直した方がいい?」
「別にいいぜ、暇だしな」
「ありがとう」
不必要で必要な
バードは何故か元気のない様子だったが、リズの頼みを快く聞き入れた。少し前のホームパーティで出した料理をリズはいたく気に入り今度教えてほしいと頼んでいたのだ。
「・・・・・ポイントは火加減な」
「おっけー、こんな感じ?」
「あぁ・・・」
律儀に約束を守る彼だがえらく元気がない。
リズにはその理由が容易に想像できた。今までに何度も同じようなことがあったからだ。
心中ため息をつきながらリズはそれを確かめる。
「・・・あのさぁ、バード」
「・・・・あん?」
「また、降られたの?」
図星だったのだろう一瞬傷ついた表情を浮かべたバードが声を荒げる。
「そうだよ!悪いか!!」
「いや、悪いとは言ってないけど」
困ったように笑ってリズは言う。
くつくつと鍋が沸騰し慌てて火を弱めた。
「けど、なんだよ」
すねたように言うのは悔しさ故か。
「バード、なんで彼女出来ないんだろうと思って 普通に面倒見いいし、優しいしさ」
鍋と格闘する彼女から目を背けバードは腕を組む。
女はすぐそれだ。
いい人だ優しい人だと言ったところで付き合ってくれる訳ではない。
「っけ!彼氏いるような奴に言われても嬉しくねぇよ!
あーあ、どっかにフリーの可愛い女の子いないかなぁ
お前、女友達とかいないのかよ」
組んでた腕をほどき悪戦苦闘するリズの手からお玉を取り上げる。手を出さずにはいられなかった。
「友達もいいけど、私も彼氏とかいないけど?」
「は?」
バードは思わず鍋から目をはなした。
「いや、だから彼氏いないし」
「は?
彼氏のために料理習いに来てるんじゃねぇの?」
くつくつとまた鍋が音を立て始めた。
「いや、一回もそんな事いってないじゃん」
何でもない風に彼女は言う。
「そうだけどよ
バレンタインなんかチョコレート作りに来てたじゃねぇか」
「・・・そのチョコ、バードにあげたじゃん」
奪われたお玉を取り返しリズは鍋の火を切った。きっともう料理なんてできない。
鍋の音がとまり静寂があたりを包んだ。
「だから、その後好きな男にやったんじゃねぇの?」
「いや
あの後誰にもチョコレートなんて渡してないよ」
目を鍋からバードに移すとリズは真剣な表情を作った。
真剣な視線からバードは思わず目をそらす。こんなリズを彼は知らなかった。
「じゃあなんでチョコレートなんか作りに来たんだよ」
「バレンタインだったからね」
「なんだ、お前もふられたのかヨ」
渡す前に断られた。そうであってくれと願いを込めて態と明るく声を上げた。
恋愛関係でうまくいったためしがない彼は彼女にそう言う感情を向けられなかった。もしも間違ってしまったら友達ではいられない。
「それなら最初から言ってくれれば「いや、べつに?」」
「・・・つまり、どーゆーことなんだよ」
「んー、バードにしか渡してないってことかな?」
バードはもう一つの願いを口にする。
「・・・結局渡せなかったってことか」
「あー、なんでそうなるかなー」
もしかして。
頭を振ってバードはその可能性を否定した。
「ほかに何があるんだよ」
「んー、例えばだけど バードが好き、とか?」
「なっ・・・冗談、だよな」
「ははっ
どうでしょう?冗談かもね」
「だ、だよなー」
「まぁ、冗談じゃないんだけどね」
しかし、リズは本気だとそういった。
料理も全部バードといる為の口実だったのとリズ>は笑う。
驚き固まるバードの手前、リズは鮮やかに料理を完成させてみせた。
(2016/02/28)
2015年3月15日投稿のTwitterLogを改変。