Eternal Oath

あなたを想う。

―――こんな幸せ他にはないわよ?


他の誰でもない、あなたがいいの


『本当におれでいいのかよ?』

よく、そう尋ねられた。

『ええ、もちろん』

彼女は心底そう思っていたのだ。


広いとは言い難い小さなアパート。
その中に一人で、いつも平山の帰りを待っている。

「ただいま・・・」
「おかえりなさい。幸雄さん」

先にお風呂にしますか、なんて何も気づいていない振りをして。
瑞樹は気づいていた。
スーツにサングラスをかけて夜になると出かけてゆく、そんな彼が堅気の商売をしているなんて到底思えなったから。
ソレがどんな仕事かはわからないが、
危ないのだろうと言うことだけはわかった(現に何度か、怪我をして帰ってきたこともある)。

「飯で」
「はい」

でも、不思議と怖いとは思わなかった(平山の身を案じることはあったが)。
もうすっかり慣れてしまった手つきで料理を用意する。
きっと瑞樹がこんなことを思っているとしったなら平山は瑞樹の元を離れてゆくだろう。

自分のせいで巻き込まぬように。傷つけないように。
それが、けっして強くない平山ができる唯一の手段だからだ。


「今日はねーー」

料理を並べながら他愛もない話をする。
かわいい猫がいた、今日は野菜が安かった等々、本当に他愛もない話。

「一緒に行けなくて悪かった」

“重かったけど、安かったからたくさん買っちゃった”
そのあとに続けられた小さなつぶやき。
そこに、平山の確かなやさしさを感じて。

「幸雄さん」

「なんだ?」
「明日・・・暇かしら?
近くに少しかわいい小物屋さんができたのよ。一緒に行きませんか?」

帰ってきた返事はもちろん肯定で。
また、小さな幸せを噛みしめる。
そっと体重を預ければ、温かな体温を感じた。

「・・・っ、瑞樹・・」

振り払うことはせず。

「幸雄さん、好き・・・」
瑞樹・・・」

しかし、愛の言葉をささやくこともない。
きっと平山はこの先も、瑞樹に想いを伝えることはないだろう。

それでも瑞樹は幸せだった。
平山のやさしさも、すべて知っていたから。

瑞樹が想いを口にすると、いつも口ごもるのを見ているから。
そして、つらそうな顔をしていつも言う。



「俺でいいのか?」

「ええ、もちろん」

もし、あなたが強くて、器用で、度胸がある、そんな男だったらきっとこんなに想ったりしない。
あなたが私は好きなんだから。


(2011/06/24)
こちらの話は夢集房様へ投稿させていただきました。