Eternal Oath

その日は、月明かりがまぶしくて寝付けなかった。

黄金の月


風にでも当たるかと出た甲板には先客がいた。

月が出ていなかったら闇に溶け込んでいるだろう黒い衣。
ただいつもと違く、覆面をしていなかったシャドウの姿。
酒を飲んでいる様子から、自分から外したであろうことがわかる。

私はシャドウのすぐ近く、背を向け座った。

理由は簡単。
普段奴が決して覆面を外さない様子を見れば、顔をあまりさらしたくないことが分かる。

ならば、見ないほうがよいのだろう。


「もらうぞ」

シャドウの酒瓶をとり、酒を飲む。

そうとう度数の高い酒なのだろう。喉が焼け、思考が鈍る。

―――月の光がまぶしい。

「お前も、寝れないのか?」

シャドウが口を開く。

「なんだ」
お前もか。

自然と口角が上がる。
それは、同胞を見つけた喜びか。

それとも、酒のせいなのか。

シャドウの方に体重を預ける。

「・・・」

小さく反応したが、嫌がる様子はなかった。

ますます口角があがる。


背に伝わる体温、喉を通る酒の味、絢爛に輝く月。


すべてが私を酔わせ。
ひどく気分がよかった。




ふと視線を月に向ける。
ふにゃりと歪む月は、綺麗な黄金色をして。

「綺麗だねぇ」

自然と口を衝いて出た。

「・・・酔っているのか」

普段と違う私の声色に、シャドウが呆れたように問う。

―――あぁ酔ってるよ。酔ってるさ。声にすらならず。



もう一度、酒を飲み月を見上げる。

「・・・ぁ」

シャドウも同じタイミングで見上げていたため、視線が交差する。
明るいためよく顔が見えた。

整った顔、色素の薄い髪が月明かりでキラキラ輝いて。

―――あぁ、なんて綺麗なんだろう

「シャド・・・」

目が離せない。

不思議とシャドウもこちらをじっと見ていた。


―――嫌じゃないのだろうか?



リズ

名前を呼ばれる。


そして、まるでそうすることが当然のように。
どちらからでもなく唇を合わせた。
”どうして”なんて分らない。

私はすべてに酔っていたんだから。



くらくら揺れる視線の中。
黄金の光がいつまでも残り続けた。


(2011/07/27)